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□□□■■僕の一番■■□□□ |
都大会某日、試合が終わり、それぞれが帰路につこうとしていた時だった。
「周助〜!!」
呼ばれてふりかえると、そこには自分より背が低く、女の子のように可愛い幼馴染の姿があった。
「乙夜!!」
幼馴染の登場に驚きつつも、笑顔で迎える。
「久しぶり、周助。元気だった?」
「うん。乙夜も元気そうでなによりだよ。」
乙夜もにっこりと微笑む。
「にゃに、にゃに〜。その子、不二の彼女〜?」
ひょっこりと後ろから顔を出す英二。
「違うよ、英二。乙夜は幼馴染だよ。」
「そうにゃの?あ、俺、菊丸 英二。英二って呼んでにゃ。」
「俺は睦月野 乙夜。よろしく、英二。」
笑顔で自己紹介をしている。が、乙夜の言葉を聞いて、英二は少し驚いた顔をして言った。
「『俺』って、もしかして男!?」
「もしかしなくても、男だけど。」
「え!?マジ!!??こんにゃに可愛いのに??」
すると乙夜は困ったような笑みを浮かべて言った。
「男に言うセリフじゃないよ、それ。」
「だってそうじゃん。ねえ、不二?」
突然英二にふられたけど、くすくすと笑いながら返した。
「そうだね。乙夜は可愛いよ。」
「周助まで〜。」
ちょっとすねたような素振りを見せる。
―そんなことをしても、余計に可愛く見えるだけだと思うけどね。
そんなことを考えると、また笑いがこみあげてきた。
「っていうかさ〜、俺、不二より可愛い男、初めて見たにゃ。」
「・・・・嬉しくないよ・・・。」
英二はそんな乙夜の様子を見て笑っている。
「ま、これからもヨロシクにゃ。いっちゃん!」
一瞬、空気が固まる。
乙夜のほうを見てみると、反応に困っているみたい。
「英二、多分わかっていないだろうから言っておくけど・・・。」
「ん?にゃに、にゃに??」
「乙夜は僕らより年上だよ。」
「へ?」
英二は大きな目をさらに大きく見開いて驚いている。乙夜は苦笑いを浮かべている。
「ってコトは高校生!?え、こんにゃにちっちゃくて可愛いのに!?」
「悪かったね、小さくて。」
ちょっと口調が乱暴になっているけど、乙夜は怒っているようで怒っていない。長い付き合いだからわかる。
「じゃ、ケーゴ使わにゃきゃいけにゃいにゃ〜?」
「別にいいよ。気にしてないし。」
「そう?じゃ、遠慮にゃく♪」
話がひと段落したところで、僕は言った。
「ねえ、そろそろ帰らない?乙夜も一緒に帰るよね?」
英二と二人で帰りたいという気持ちもあったけど、乙夜をほおっておくわけにもいかなかった。
矛盾していると思いつつ、どちらもとることも出来ない。
―こんなのだから、英二に告白なんてできないんだなぁ・・・。
だけど、乙夜の口から出た言葉は僕にとって意外だった。
「あ、俺、まだ用事があるから二人で帰って。」
「え、でも、乙夜ひとりで大丈夫?」
「大丈夫だって。っていうか、子供扱いしないでよ。」
「いや、そうじゃなくてさ・・・・・。」
乙夜がどうしてそんなことを言っているのかわかる。だけど・・・
―乙夜をひとりで帰らせるのも心配なんだけどなぁ。
「ヘーキだって。」
どこからこの自信がきているのか知らないけど、僕は乙夜の行為に甘えることにした。
乙夜のこういうところは自分より年上だって思える。
それが、乙夜のいいとろこでもあるのだけど。
「そう?じゃ、ごめんね、乙夜。またね。」
「うん、またね。周助。」
僕はそのまま英二と一緒にその場を後にした。
「ったく、あやまるくらいなら、自分こそしっかりなよ。
・・・・がんばれ、周助。」
乙夜がつぶやいていた言葉は僕の耳には届かなかったけど、
きっと、僕の心に届いていたと思う。
乙夜に、勇気をもらった気がするから。
*****
英二との帰り道はいつも話題が尽きることはなかった。
今日も尽きることなく話していた。
「不二はいいにゃ〜。あ〜んにゃ幼馴染がいて。」
「英二、乙夜のこと気に入ったの?」
聞きたいけど、聞きたくなかった。
もし、英二が乙夜のことを好きになっていたら、
僕が英字のことを好きなように、英二が乙夜のことを好きになっていたら、
そう考えると胸が痛かった。
英二も乙夜も憎むことなんて出来ないから。
「うん。だって、あんなにちっちゃくって可愛くて、いい子にゃんだもん。
嫌いににゃんてにゃらにゃいにゃ。
不二だって、いっちゃんのこと好きだよにゃ?」
―だから、そういう言い方は止めなよ。年上なんだしさ。
そう思いつつも、英二の乙夜に対する気持ちが友達に対するものでよかった。
僕はほっと胸をなでおろし、英二の質問に答えた。
「うん。もちろんだよ。」
にっこりと微笑む。
これは、肯定の意味よりも安堵の意味が多くこめられている、なんてことに英二は気づかない。
「でも、俺にとって一番可愛いのは不二だにゃ。」
「え?」
突然の英二の言葉に思わず立ち止まってしまった。
英二は僕のほうをふりかえって言った。
「俺、不二が好きだから、
俺にとっての一番は不二だけだから。」
英二の告白。
僕は英二から告白されるなんて思ってもみなかった。
僕は溜息をついた。
すると、英二は慌てて言った。
「あ、ごめんにゃ。今の、忘れてくれていいからにゃ。」
英二は恥ずかしかったのか、僕に背を向けて歩き出そうとした。
「僕から言うつもりだったのに・・・・。」
「え?」
驚いて英二がふりかえる。
そして、僕は続けて言った。
「僕も英二のことが好きだよ。ホントは僕から言うつもりだったんだ。」
「不二、それホント・・・・?」
「本当だよ。」
にっこりと、優しく微笑んで言った。
「でも、不二、いっちゃんのことが好きにゃんじゃにゃいの?」
「うん。乙夜は好きだし大切だよ。だけど、英二への好きとは違う。
英二は僕の一番だから。」
「不二・・・・。」
「大好きだよ、英二。」
「うん。俺も不二のこと好き!!」
乙夜、ありがとう。
君がいなかったら、ずっと伝えられなかったと思う。
だから、勇気をありがとう。乙夜。
そして、一番じゃなくなったけど、
これからも大切な幼馴染であることには変わりはないから・・・・
だから、ごめんね。それと、ありがとう。
―END―
〜おまけ〜
「そ〜いえばさ、不二。
にゃんであの時、不二、いっちゃんのことすっごく心配してたの??」
「ああ、それは・・・・。」
「あ、もしかして、いっちゃんって可愛いから、
変にゃ奴にナンパとかされるって心配してたとか??」
「それもあるけど・・・・乙夜って、方向音痴なんだよね。
だから、ひとりで帰らせると、迷ってないか心配で・・・・。」
「マジ?(汗)」
「うん。」
「・・・・・よく、あそこまでこれたにゃ・・・(汗)」
「僕もそう思うよ。」
後書きという名の謝罪文
不二よりも背が低くて可愛い高校生の男の子って鷹月、マジ見てみたいですね(笑)
にしても、オリキャラ、マジででばりすきですね(汗)
反省しています(大汗)
でも、英二に『いっちゃん』って呼ばせたかったから、
この小説書いたようなものだしな〜(←反省してないだろ、お前!!)
峰谷の自爆、なぐさめ小説なんだけど、なぐさめになっていないね・・・。
前のもそうだけど(苦笑)
こんな駄文でよかったら、うけとってね、峰谷!!(前にも言ったな、こんなセリフ・・・)
私の自爆を請け負ってくれた鷹月様v
ある意味自爆して良かったかも(笑)
方向音痴は私もなので笑えない……。
ん〜、ラブラブなお二人でしたー!!可愛いね、エージ君v
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