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of the best road |
正解も間違いもない だけど約束もない
俺達がそれぞれ選んだ道がある限り
好きだという感情だけで動けるほど素直じゃなくて。
気付けば彼を目で追っているのに
言葉に出来ないもどかしさに溜め息さえも出ない。
自主練を欠かさない海堂は、今日も遅くまで残っている。
以前は副部長達が残っていたが、自分に付き合わせて遅くなるのは嫌なので、先に帰ってもらうようにした。
なのだが、今日は部室に明かりがついてる。
別段気にする訳でもなく、ドアに手をかける。
「あっ、部長。まだ残ってたんスか?」
「あぁ、用事が長引いてな。さっき終ったところだ」
「そっスか」
そう言って海堂は汗でビショリのシャツを着替え始める。
「今日はもう終りか?」
「はい」
「なら、途中まで一緒に帰るか?」
「…………」
キョトンとしながら見つめてくる海堂。
返答がない。
「嫌か?」
手塚が聞く。
すると海堂は慌てて否定する。
「そんなことないっス!」
「そうか。なら帰ろう」
海堂は帰り支度を急いでする。
「そんなに慌てなくてもいいぞ」
「でも、待たせるのは悪いっスから」
海堂は妙なところで生真面目だ。
性格なんだろうとは思うが。
「部長、終りました。行きましょう」
「あぁ」
一緒に帰るといっても、無口な二人が並んで歩いていても会話があるはずもなくて。
海堂が機嫌を損ねないか不安な手塚。
誘ったのは自分なのいん、何も話さないのは失礼だと思う。が、だと言って突然話せるわけではない。
(菊丸が不思議でたまらん……)
「あの……、部長。俺といて退屈じゃないですか?」
「なぜ?」
「だって、その…不二先輩や菊丸先輩のように話したりしないし。無愛想だし………」
なぜここで不二や菊丸が出てくるんだ?という疑問があった。
「あいつらの場合はウルサイだけだ。人で遊んだりとか」
「そうなんですか?でも菊丸先輩って部長には抱き付いたりしませんよね?」
「以前やられて、50周走らせたからな。学習したんだろう」
また、暫しの間沈黙が続く。
海堂が相手じゃなければ、こんなに気にする事はないんだが……。
「海堂こそ、俺といて退屈ではないか?」
手塚らしい、眉間に皺をよせて聞いてくる。
「えっ?」
さっき海堂が質問したのと同じ。
少し戸惑いながら照れくさそうに言った。
「部長とだったら、俺は全然退屈じゃありません」
海堂らしく、真面目に手塚の質問に答える。
「俺こんなんだから部長に嫌われないか不安だったんっス、いつも」
この雰囲気は……!!
手塚は密かに期待していた!!(笑)
「海堂、実は………」
手塚の言葉を遮って、海堂が話しを続ける。
「俺、部長に憧れてるんです!!絶対に部長に認められる位に強くなりたいんです」
なんか、言い出すタイミングを失った手塚。
それでも……。
「強くなるための道はいくらでもある。どれを選ぶかは自分次第だ」
「はい」
「お前は、いい道を行ってる。迷いのない、真っ直ぐな道を………」
「ありがとうございます」
不意に、海堂が笑った。
そう、自分に向けて。
自分だけに……。
「それじゃ、俺家こっちなので、失礼します」
「あぁ、無理だけはするなよ」
「ウス」
そう言って、道を曲がった。
冷静を装ってる手塚だが、内心ドキドキされっぱなしだ。
”好きだ”
とは言い出せなかったが、海堂の笑顔を見れただけで幸せな気分だった。
手塚は海堂の姿が見えなくなるまで、見ていた。
好きだと言うまでにも、道は多くある。
今日は、その一本を通っただけのこと。
明日は、明日のthe best roadを通るだけ。
光のにおいする方走って行く
その先でいつか君に逢えたなら
それが そう 一つの正解かも……
333HITのえいみ様からのリクでした。
この塚海を少しでも気に入って貰えたらいいんだけど……(ドキドキ)
ん〜、海堂の無垢な笑顔攻撃されたた誰だって焦りますよ。
気付かずにやってくれるから、心臓に悪いんですよ。普段笑わない人の笑顔って嬉しいvv
では、えいみ様に捧げました。
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