その先に
いつも光の中にいるあなた。

俺には決して手の届かない場所にいる。

それを羨ましいとは思わない。

それを嫉んだりはしない。

それは俺が弱いから。

だから届かないだけ。

あなたを越そうなんて、大それたことは願わない。

ただ、あなたの横にいつもいたい。

あなたに少しでも認めてもらいたい。

俺には努力するしか能がないから。






朝も早くから海堂の一日は始まる。

早朝マラソンをしてから、いつも朝練にへと向かう。

初めは苦しくて仕方なかった距離も次第に慣れていき、今では増やそうと考えている。

自分ではオーバーワークな内容をどうしても作ってしまうので、また乾と相談しよう。

早朝マラソンが終り、いつもより早くから始めたせいで時間が余る。

公園で休憩を入れてから学校へ向かおうと考える。

「海堂か?」

急に後ろから見知った人から声をかけられる。

「部長、おはようございます」

礼儀正しい海堂。

「海堂は練習熱心だな。感心だ」

部長に誉められ、顔が笑いそうになるのを必死でこらえる。

皆は俺のことを仏頂面とか、怖いとか言うがそんなことはない(ホントか?)

意外に話もするし、笑うこともある。

ただ恥ずかしいし、人見知りをするだけ。

目つきが悪いのも生まれつきだ。

「部長はどうしたんスか?」

「いや、俺も朝練の前に軽く体を動かそうと思ってな」

「部長でもそんなことするんスね」

「ん、変か?」

「い、いやそんなことないッス。ただ、部長は俺なんかと違って、何でも出来る人だから……」

手塚はそんなことを言う海堂を驚いた顔で見る。

言ってはいけないかと反省する海堂。

手塚かが怒ってないか、そっと上目づかいで見る。

「海堂」

手塚が口を開きビクッとする。

「誰だって努力しないで上手くなることはない。お前の頑張りは絶対に自分のものになる」

部長に言われると、自分が下らないことで悩んでいたんだなと苦笑する。

「そッスね。俺何悩んでたんだろ」

迷いが吹っ切れたのか、いつもの海堂の目だ。

真っ直ぐ前だけを見ている、あの目。

自分を突き刺すような。

「俺もう少し走ってきます。それじゃまた、部活で」

「あぁ、あんまり無理はするなよ」

「ウス」

そう言って走り去る海堂の後姿を見送る。

「校内戦のメンバーの一人は決定だな」















2年になった海堂は、レギュラーの座を勝ち取った。


一歩一歩近づく、自分の夢に……。














*****************************************
初のテニプリ小説がこんなので良かったのしょうか……?
とりあえず、海堂も悩んだりするすのかな〜と思って書きました