整形外科
整形外科医として長年手術に携わってまいりました。専門は手の外科です。 関西労災病院では12年間、肩、肘、手を中心として多数の手術をしてまいりました。
高齢者の腰痛には様々な要因があります。骨粗鬆症を基盤とした「いつのまにか骨折」、かなり頻度が高いです。コルセットの使用、様々な種類の鎮痛剤の投与などで対処しますがその原因である骨粗鬆症の治療が大切になります。新しく設置した世界標準の骨塩定量器を用い検査し、注射を含めた骨粗鬆症治療薬を導入します。 歩いていて腰が曲がる、5分歩くと座りたくなる、大腿部下腿部がしびれる、などの症状は腰部脊柱管狭窄症が考えられます。硬膜外ブロックや 椎間関節ブロック、プロスタグランジンE1製剤等を使用するとともに、末梢神経の疼痛を和らげる薬(タリージェ、リリカ)などの投与を行います。
中高年の膝痛には変形性膝関節症が最も多いですが、一言で変形性関節症と言っても半月板軟骨などの損傷、滑膜の炎症もあれば骨髄内の挫傷が原因のものなどもあり、その病態を見極めて治療します。治療は膝関節の筋肉トレーニング、荷重軸の変更のための足底板、ヒアルロン酸注射を用います。
思春期の腰痛で代表的なのは疲労骨折です。体の動きは各関節運動が連鎖するように作動します。例えば投球動作には足関節を動かし、膝を屈伸し、股関節を動かし脊椎を回旋し肩、肘、手と力を伝達していきます。このとき例えば股関節の動きが硬ければ隣の関節である背骨の動きが大きく要求されます。針金を何度も折り曲げると金属疲労で折れてしまいますが、骨も硬いのですが弾性体なので針金と同じように骨折してしまいます。治療としてはある程度の安静と体の硬さを改善することが必要になります。代表的にはハムストリングや大腿四頭筋のストレッチです。
手関節の親指側の痛みとしての親指を伸ばす腱の腱鞘炎、小指側の尺骨頭部(手関節の小指側で出っ張っている部分)にも腱鞘の問題が多いです。この尺側手関節部痛に関しては現在まで学会等で詳しく発表してまいりました。母指の根元、手首に近い部分の痛みとしての母指CM関節症は中高年の女性を中心として多く発生します。手の指に発生するバネ現象ですが、注射により多くの場合は回復します。 再発する場合、当院ではばね指に対しては、注射針を用いて小さな針穴だけの傷で治療する経皮的腱鞘切開手術を外来で実施しております。