『夜の銀河に浮かべた笹舟はとても頼りなくて、本当に月の国まで辿り着けるか不安でした。

姫の心にあるのは愛しい王子がくれたった一つの言葉だけ「そこで待ってるよ・・・」その言葉だけを頼りに地図の無い旅に出た姫は・・・』


最近毎晩カズに語って聞かせるファンタジーのようなお話し。カズは決まってここら辺りで眠ってしまう。

最後まで聞けないくせに、いつも最初から話してってせがむ。まるっきり子どもなんだからね。

今日も結果は同じ。いつの間にか眠ってしまったカズが寝苦しくないように、うちわでそっと風を送る。

無防備な寝顔や赤ちゃんみたいに握り締めた手が愛しくて、いつも見とれてしまう自分を呆れている私がいる。

その握り締めた手の中には何がありますか?今、どんな夢を見てますか?


ああそうだ、今日は七夕だわ。そう気付いてカーテンをあけて見上げた空には満天の星。

天の河をユラユラと流れる笹舟が見えたような気がした。きっと姫は王子の待つ月の国へ辿り着けるよね。

だって姫は私で、王子はカズなのだから。私は信じてるよカズのこと、だからきっと辿り着けるよね、お願い・・・。

ちょっとおセンチになって涙ぐみそうになった私の後ろから、ふいに抱きしめられて耳元で囁かれた。

大丈夫だよ、俺は最後まで聞かなくても分かってるんだ。姫はきっと月の国まで行けるよ。

だってほら、お前はもうここまで来てるじゃないか。

溢れそうになる愛をぎゅっと閉じ込めて、零れた涙も飲み込んで

振り向いたカズの胸で、今度はカズが私にお話しを聞かせて。私が眠るまで・・・。


笹舟の上で願う私の願いはたった一つ  カズが願う夢が叶いますように・・・

 

後日談

へ〜くしょん!駄目だよ、窓開けっ放しじゃ。最後に寝た人が閉めるのよ。

だって話しているうちに、眠くなっちゃって・・・共倒れなんだから、俺が悪いわけじゃないよぉ。

あーどうでも良いからティシュとってね。ダメダメ、これって七夕の短冊じゃないのー!

なになに、もうちょっと軽いくなりますように・・・姫抱っこがきつい!?

もー姫抱っこなんか、いらな・・・ねぇ、もっと体力付けなさい(笑)

 

短冊に願いを・・・亀ちゃまは「自分に厳しい人間になれますように」って
えらいねぇ・・・自分にも亀ちゃまにも大甘な私はどうしたらいいのでしょうね。
2004.7.12