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―『ONE』からある一幕を―

ONE

―隙間を埋める少女―


01/08/08


Illustration ぶの[
Baroque House]
Short Side Story 津々羅

 


「わたしも久しぶりだよ。絶対浩平と一緒に行こうって、浩平とじゃないと行かないって決めてたから」

俺の視線の先で、夕焼けの光を浴び赤く染まる少女。
あいつが居たから俺は帰って来れた。

「お好み焼き何食べよう……ぶた焼きかな、いか焼きかな、あっモダン焼きもあるね、ね、楽しみだね浩平っ」

あいつが笑っていてくれたから、帰ってこれたのだろう。



こっちを向きながら後ろ足で歩く瑞佳。

「こうしないと浩平の顔ずっと見れないもん」

ずっと笑顔を俺に見せながら。

「やっぱり浩平の顔、私好きみたい」

俺の心に暖かな灯火をくれる。



俺が無くしかけた大事なもの。

最後は滅び行く俺達の、
だがそれゆえに光輝くこの日々の中に。

今俺は瑞佳と一緒に日常の中に居る。
一番愛しい人と過ごす流れ行く季節の中に居る。



『そっちのわたしと、あなたで、幸せな日々を歩んでね』



ああ、そうだなみずか。
俺が瑞佳を幸せにする。

……ごめんな、約束破って。



『違うよ。約束は守られたんだよ』



そうか?



『小さな波のうねりが大きな波のうねりに飲み込まれるように。
月の光が太陽の光に掻き消されるように。
今のわたしの想いがわたしよりいっぱいだったんだよ。
そして、あなたの想いも』



そうか。
そうかもしれない。

今のキミが変わらず微笑んでくれた事が俺を。
俺が今のキミを望んだことが世界を。



『うん。一緒に居る事を。ただ滅び無い変わらないものじゃなく、滅び在る変わって行くものをあなたは選んだだけ』



そうか。

俺は頷くと笑顔を向ける。
夕焼けに重なるキミへと。



『そこは変わっていけるから。だから輝いてね。二人で一緒にきれいに、きれいに』



夕焼けの向こうに居るキミもまた、笑顔で俺に想いを届ける。

その想い受け取った俺はキミに。
俺は最後の呟きを。



ありがとう、と、告げた。



「浩平っ、浩平ってば。ぼーっとしてないで早く行こうよっ、ぼーっとしてたら閉まっちゃうよーっ!」



夕焼けに、キミと向き合っていた俺に今の君から催促の声。
その瑞佳の声にキミはくすくすと笑った後、どういたしましてと言って夕焼けの向こうへと消える。



「もーっ、浩平ーっ」

いつのまにか立ち止まっていた俺に向かって駆けて来る瑞佳。
この少女にいつも俺は助けられてきた。

昔から、だ。

「ほらほらっ、行こうよ浩平っ」

手を俺に差し出し、そう言う。
瑞佳は笑顔。
俺を待っていてくれた、笑顔だ。

俺はその笑顔を守って行く。

その想いを込め、俺は瑞佳の手を掴むとそのまま引っ張って歩いていく。



「よし、今日はスペシャルだ、スペシャルを食うぞっ、そんな気分だしなっ!!」
「ええ!? 浩平あんなの食べるの!?」
「食うったら食う。長森もスペシャルだっ」
「あんなのやだよっ、なんでもお好み焼きに入れればいいってもんじゃないよっ!」



今、俺の手にはやわらかで優しい温かみがある。



この手の先には困った顔してる少女が居る。



その少女の名は長森瑞佳。



俺の幼馴染で、俺のかけがえのない彼女だ。

[感想掲示板]



後書き (written by ぶの&津々羅)


ぶのさんにCGを頂き、あまりにも気に入ったので小説をつけて掲載しますと言ったのが今回のお話。
……既に3ヶ月以上は経過したでしょうか(汗)

プロットはすぐ出来ていたのですが、色々ありまして遅くなってしまったんです。
しかも書いてしまえーっと書き始めたら実質3時間ぐらいで行けたみたい<実質ですのでほんとは2日ぐらい〜
体調崩してたとはいえもっと頑張れワシ<駄目駄目。
しかも短いぞ!?<最短かも(ぉ

お話自体は何も特別なことの無い話にしました。
面白み溢れるギミック満載な話にしようかなと一瞬思ったりもしましたが<書けるかは謎。
ぶのさんのCGを見ていて浮かぶ話はこういう透明感、そんなものがある話。

まさに浮かんできたって感じです。
絵ってすごいなぁと思う瞬間ですね。
まさしく静止しているもう動く事の無い絵なのに、それを見れば頭の中で話が世界が動きだします。

ぶのさん、CGありがとねっ!
凄く嬉しく、凄く好きな絵でした!

これからもCGを頑張ってくださいねっ!
津々羅はぶのさんを応援してますヾ(´ー`)ノ


《津々羅》