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ベトナム編(1998年12月8日〜12月22日)

12月8日(火)6年ぶり
6年ぶりのベトナム出張だ。6年前、私は通訳と運転手と3人でホーチミンからハノイまでの2000kmを車で縦断するという快挙を成し遂げたのだった。「ジャパニーズ・ビジネスマンはPKOを超えた。」という映画のキャッチフレーズそのままの旅だった。あの時と比べたら、大きく変わったであろうベトナムの状況を報告する。

まず、何と言っても関空からホーチミンへの直行便ができた。JALとベトナム航空の共同運営というわけの解からん便だが。搭乗したのはベトナム航空の飛行機だった。スチュワーデスもみんなJALの制服ではなく、ベトナムの民族衣装であるアオザイをベースにした制服だった。
ところで、この共同運営便だが、JALで航空券を購入するのと、ベトナム航空で購入するのでは価格が違う。もちろんJALの方が高い。同じ飛行機に乗るのに何故?と思ったが、会社の総務の女の子によると、事故の時の補償金額が違うらしい。死亡した時の補償上限金額というのがある。これは航空会社によって大きく異なる。というか、国によって物価水準が大きくことなるので当然、人の値段も変わってくるのである。
ちなみにJALは青天井(上限無し)なのに対して、ベトナム航空は約800万円だったと思う。
で、総務のお姉ちゃんは私に「ベトナム航空の方がチケット代が安いんですけど、それで良いですか?」と能天気に電話で聞いてきやがった。JALに決まってるだろ。

約6時間のフライトで気温31度のホーチミンに到着。出迎えの代理店のおじさん(42歳)と合流しホテルへ向かう。タクシーが走ってる。6年前はタクシーなんてなかった。ホテルにチェックインして、また驚いた。部屋のテレビにNHKが映る。ロビーに読売新聞が置いてある。なんだ、もう他のアセアン諸国と何も変わらない感じだ。

12月9日(水)焼き飯うどん?
最近、ベトナム料理を食べに行く若い女性ツアーが多くあるらしい。確かに、おいしい。ベトナム料理と言っても、まあ中華料理みたいなモンなんだけど、有名なのは「春巻き」である。知ってた?英語で春巻きのことを「SPRING ROLL」と言う。そのまんま。
普通の揚げた春巻き以外に、ライスペーパー(米で作ったオブラートみたいな紙)でサカナの身や野菜を巻いて食べるものもある。日本の手巻き寿司パーティーみたいに、大勢でワイワイ言いながらやると楽しいものがある。それを、酢やライム汁をベースにしたあっさり味のソースにつけて食べる。おいしいよ。

それと、ホテルのメニューで「フライド ライス ヌードル」というのがあった。直訳すると、「焼き飯うどん」。なんだこれは、と思いながらたのんでみると、でてきたのは「焼きビーフン」だった。そう、ライスヌードルとは「米で作った麺」つまり「米粉(ビーフン)」だった。米を主食とするベトナムでは、麺も米を原料にしてたのである。ビーフンの種類も多様であり、焼くだけでなくスープに入れても食べる。おいしいよ。

ベトナム料理を一言で表すと「あっさりとした中華料理」だな。本当に、おいしいよ。

12月10日(木)ベトナム語
難しい。文字はアルファベットなんだけど、何かいろいろ記号がついている。アルファベットは26文字だけど、ベトナムでは24しかない。FとWがない。しかし、A.I.U.E.Oの5母音にいろいろ記号(「~」「.」「’」などなど)がついて、何とよくわからんが、母音は66もあるらしい。66って凄くないですか。「あ、い、う、え、お」の5つしかない日本語と違って、66だよ。66。66の母音に19の子音だから合計85文字。まず、覚えられない。

私が、6年前に覚えた単語は数字の「3」だけ。「バー」と発音する。もちろん、綴りは知らない。これも、ベトナムのビールのブランドが「333」(バー・バー・バー)といったからであり、今回もこれ以上は何にも覚えなかった。めったに行かない国の言葉は、覚えられない。ホテルでは、英語だし、代理店のおじさんや兄ちゃんも英語ができるので、ベトナム語は使うことがない。
しかし、もちろん現地語がしゃべられないと、その国を知ることはできないが。

12月11日(金)ホンダ
ベトナムでは、もういたるところでオートバイが走っている。車の数はまだまだ少ないので渋滞はあまり無いが、このオートバイの数は凄い。で、オートバイのシェアの80%以上をホンダが押さえている。そうすると、どういうことになるかと言うと、オートバイ=ホンダとなる。つまり、ベトナムでは、オートバイのことをホンダと呼ぶのである。ヤマハのオートバイは「ヤマハのホンダ」となる。

ベトナムにはコインが無い。全部、紙幣だ。まあ、VDN13,800-/$だから、コインはいらないと言えばいらない。タクシーも安い。初乗りが、VDN5,000-で1KM。その後、200MごとにVDN1,000-づつアップする。まあ、2KMで100円。日本だと660円だもんな。

12月12日(土)お祭り
今日は何かよくわからんが、サイゴン建都300周年だそうだ。サイゴンは旧南ベトナムの首都で、ベトナム戦争後にホーチミンと名前が変わった。ホーチミンとは人の名前だ。フランスからの独立戦争の指導者であり、アメリカとの戦いにも勝利しベトナムを統一した英雄である。その昔、こんな歌があった。♪ホー・ホー・ホーチミン、遠い海のむこう、東の海のむこう、インドシナの父と呼ばれた、その人の名はホーチミン・・・・・♪
ホテルがメインロードに面してるので、もう夜中の2時ごろまで、うるさくて眠れなかった。夜店や楽団が出て、もう人の波。ホテルの部屋の窓から見ていたが、とにかく、人、人、人であった。

ベトナムは、日本、フランス、アメリカ、中国といった大国と戦い続けた国である。国土は荒れ果てて、人々はどん底の生活を余儀なくされた。未だに、米軍の枯葉剤のために立ち入り禁止区域も多い。ベトナムは大国と戦い、そして独立を勝ち取った。でも、今や、それら大国からの援助がなければ、やっていけないのである。市街地は、ペプシやコーラ、モトローラといったアメリカ企業の広告であふれている。ホテルもレストランも、タリフやメニューは全部ドル建てだ。ベトナム戦争当時の、地下トンネルも観光名所と化した。
ヘロインの密売が社会問題になっている。売春婦を紹介するポン引きが、ホテルを1歩でると声をかけてくる。「ハーイ、オンナ、ヤスイヨ。」。
社会主義の理想は地に落ちた。かつての「ベ平連」の人たちは、この現実をどう思うんだろうか。何のために、多くの人が死んで行ったのだろう。世の中には、憤ってもどうしようもない現実がある。

12月13日(日)テレビゲーム
暇なので、朝からホテルの近くのショッピング街でお買い物。まあ、いろいろ土産物は売っているが、そういうのにはあんまり興味はない。さっそく、ファミコンショップを見つけたのでチェック。メインはファミコン(SFCではなくFC)とゲームボーイだった。64はもちろん、プレステやサターン・スーパーファミコンは、ほとんど見かけない。で、ソフトは全部が台湾・中国製と思われる海賊版だった。
しかも、ただの海賊版ではない。「300 in 1」とか、「180 in 1」といったソフトが山積である。つまり、300本のソフトが1本のカートリッジに入っているというやつだ。話のネタにと思って、GB用の「180 in 1」を買った。結構高くて、1700円くらいした。
ホテルの部屋で、さっそく使ってみた。いきなり、メニュー画面が出て、1番から180番まである。しかし、しかしである。1番と8番と15番と・・・・は同じタイトルである。2番と9番も・・・、つまり、実質的には7つしかゲームがない。やられた。(なお、代理店のおっちゃんが言うには、少しづつゲームの内容が違うらしいが、私にはその違いはわからなかった。)
まあ、入っているゲームが「倉庫番」「麻雀」「ドクターマリオ(落ち物パズル)」などなどで、結構楽しめたのでOKとした。
なお、これは噂であるが、韓国製海賊版ソフトで「ソニックvsマリオ」というプレスト用ソフトがあるらしい(プレステ用というところがミソ)。これは、ぜひプレイしてみたい。

盆栽のコーナーがある。「BONSAI」と書いてある。今、ベトナムでは盆栽がブームらしい。値段もだいたい200円から500円くらいと安い。意外なところに意外な日本文化が輸出されていた。

12月14日(月)台風
今日はホーチミンからニアチャン(NHA TRANGと書いてニアチャンと読む。)へ国内線で移動。季節外れの台風が来ていて心配したが予定どおり飛び立った(初めて知ったのだが、台風の番号は各国が勝手につけている。ベトナムでは台風8号だったが、NHKは台風17号と言っていた。)。
しかし、ニアチャン上空で空港への着陸を3回トライしたが、雲が厚くて全部失敗して再上昇を繰り返したあげく、ホーチミンに引返してしまった。わずか1時間の距離なのに、なんで出発前に空港上空の天候がわからないんだ。結局、2時間半のフライトの後、2時間ホーチミンで待機したにもかかわらず、キャンセルになってしまった。

暇つぶしに代理店のおっちゃんとインターネットの話をした。おっちゃんも、インターネットが趣味で、よくネットサーフィンをするらしい。機種は忘れたが、WINDOWS 98でMMX 200MHZ だと言っていた。ブラウザなんだが、それがI.Eでもネスケでもなく「OPERA」という欧州製のシェアウエアだそうだ。非常に開くのが早く、電話回線の安定していないベトナムでは結構人気があるらしいが、そのおっちゃんも送金はしていない。ひたすら、試供期間での使用・ダウンロードを繰り返している。

12月15日(火)小渕総理
予定を変更して、今日はハノイ入り。ハノイ空港に着いたら、日本政府の特別機が止まっていた。しかも2機も。JALのマークもなにも書いてなくて、ただ機体には「日本国」としか書かれていない。あとは日の丸だけ。
そうアセアン首脳会議に出席するためにハノイ入りした小渕総理の特別機だ。しかし、何で2機なんだ。どんなけお供を連れてきたんだ。
この首脳会議のおかげで、ハノイのホテルはフルブッキングで、ろくなホテルが空いてない。結局、3スターの小さなホテルに泊まった(後日、これでエライ目に会うのだが。)。

ハノイの空港バスは日本からの援助品だ。すぐにわかる。神戸の市バスなんだ。それが。あの神戸のシンボルマークがある。緑と白のツートンカラーだ。しかも、車内には〇〇自動車学校のつり革広告入り。塗装ぐらいしろよな。

12月16日(水)サロンパス
腰が痛い。昨日、ハノイ空港で荷物を持ち上げた時にギックリ腰になったようだ。ものすごく、いやな痛みだ。ベッドで寝てるときや歩いている時は大したことないんだが、とにかく座ると痛い。今日は車で片道3時間かけての客先訪問だ。これはまずい。
朝、代理店の兄ちゃん(ハノイでは担当者変更で、29歳の独身の兄ちゃんだ。)に状況を説明したら、さっそく薬(湿布薬)買って来てくれた。それが、ベトナムでライセンス生産されているサロンパスだった。
こうして、これから帰国まで、私はあのサロンパスの臭いをプンプンさせながら客先訪問をすることになった。

12月17日(木)フェリー
ハノイから150KM離れたナムディンの近くにある客先を今日は訪問。その道程で大笑いしてしまった。幅が300Mはあろうかという大きな川に遭遇した。しかし、橋が無い。左右を確認したが視界には全く橋が無い。
代理店の兄ちゃんが言うには、フェリーが来るという。はっきり言って全然期待してなかったが、その期待は見事に的中した。フェリー=サンフラワーと思ってはいけない。
まず、10M四方の大きな鉄のイカダをイメージして欲しい。その下に空気の入った船倉がある。つまり、大きな鉄の板が浮いているのである。その上に車や人や牛を乗せる。スーツを着こんだ外国人の私は、牛を連れたおじさんの横に立っていたが目立つこと目立つこと。金をせびるガキどもに囲まれたが、首を横に振ったらあきらめた。
どうやって、この鉄の板を向こう岸まで運ぶのかというと、ポンポン船に押されたり引っ張られたりしながら渡るのである。これが行ったり来たりするんだよな。これのどこがフェリーだ。人と牛の料金はどっちが高いんだ。

川を渡ると、そこには軍のトラックが軍人をたくさん乗せて移動中だった。おい橋を作れよ、橋を。軍隊の演習なんかしてる金があるんなら。発展途上国は全部こんな感じだ。国防も大事だろうけど、その前にやることがあるだろう。

12月18日(金)ゲテモノ
さて、今日は何か変わったものを食べに行こうということになり、代理店の兄ちゃん達と晩飯へ。ところで、テレビ番組なんかでお笑いタレント達がが出てきて、海外のゲテモノを食べるのがあるが、あれははっきり言ってインチキである。テレビで食べるのは、現地でもゲテモノ食いしか食べないような変なモノであり、ミミズのスパゲティや虎の肉なんてどこでも食べない。
で、今日食べたのは「かたつむりの生姜味煮込み」「うさぎの肉のから揚げ」「食用蛙の姿揚げ」「ハトの丸焼き」といったこちらではごく普通の食事だが、日本人にはちょっと変わったモノだった。
昔、台湾で食べたコオロギのから揚げが、私にとっては一番のゲテモノかな。おいしかったけど。

12月19日(土)接待
今日、ハノイからホーチミンに戻った。月曜日には帰国なので、世話になった代理店のおじさんを接待することにした。と言っても、晩飯を食わせてくれたので、その後、2件目に行ったところの金を払っただけなんだが。
ベトナムでは、ビジネスマンの接待に「ダンスホール」がよく使われる。ダンスホールと言っても、女の子がついて一緒にウイスキーなんかを飲むところなんだが、ディスコのようなホールがあって踊ることもできる。まあ、クラブのちょっと大きい所である。
そこで、5千円ほど払った。領収書をもらったら、ウイスキーが○杯、氷が○杯、コーラが○杯、など、事細かに明細が記されていて、それぞれに単価がかかれてあった。それはそれで別に問題ないので、そのまま店を後にした。
翌朝、ゆっくりとその領収書を見ていると、「DANCING GIRL 2 : $10.00-」と最後に書かれていた。横に座った女の子のチャージだ。おい、他に書きようがあるだろう。テーブルチャージとか、何とか。
こんなもん会社に提出したらあらぬ誤解を生む。こうして、この接待は自腹を切るハメになってしまった。

12月20日(日)すごいソフト
今日は最後の休みなので、街をうろちょろしてたら、おもしろいモノを見つけた。パソコン用ソフトを山積みしてあるパソコンショップに「WINDOWS 97」が置いてあった。あの、マイクロソフトのロゴの入った箱に「WINDOWS 97」と書かれたソフトが1本だけ飾ってあったのである。
最初は何とも思わなかったのだが、よ〜く考えてみると、そんなソフトは出てない。95の次ぎは98だ。
いったいどこをどうバージョンアップしたんだ。言葉がわからないので値段や何やかやは聞けなかったが、本当に何でもありだな。

12月21日(月)帰国
おみやげを買った。帰国後、嫁さんに怒られるは、ネット仲間にはあきれられるはの、「さそり入り櫛」を10個も買った。本物の蠍(サソリ)が埋め込まれた櫛である。これで、髪の毛を梳くのは勇気がいる。
Tシャツも買った。これは安いのである。一枚たったの200円で高級品が買える。イラストは、ホーチミンの肖像画やベトナムの国旗をあしらったものなどで、いかにも「ベトナム」といった感じでお気に入りである。(もらった人がどう思ってるかは定かではない。)
あと、まともなお土産として、小さな人形の詰め合わせを何セットか買った。

仕事の方は例によって例のごとく、これといった成果もなく、帰国の途についた。
これにて終了です。また、いつかお会いしましょう。