少し前の話になるけれど、カシオは当時『青春アミーゴ』にはまっていた。(今でも結構好きだけど)
そろそろ歌詞も覚えてしまうかと思われた頃、私はふとその歌詞の説明をカシオにしたのだった 。

「ここはな、彰から修二に電話がかかってきたわけよ。『助けてくれ…』って。」

あぁ…、余計なことを話してしまった…。
なんて後悔したのは後になってからの話で、その時はほんとにふと口にしただけのことだったのだ。

しかしこのことは、カシオにとってかなりの驚きだったようである。
それまでは歌詞の意味なんて考えたこともなく、言葉をそのまま覚えていただけだった彼は、「この歌にそんなストーリーがあったなんて!」とまさに目からウロコ状態で、「それで?それで?」と際限なく質問し続けていた。
少し聞いては暫し沈黙、続きを聞いては暫し沈黙、同じ箇所を聞き直しては暫し沈黙…を繰り返すカシオ。
きっとその時、彼の頭に耳をピタリとくっつけてみると、
「カシャ、カシャ、この後はこうなるようです。ピーコピーコ、この先はまだ不明です。ツ、ツ、ツ…」
なんて処理音声が聞こえてきそうなほど、カシオは頭をフル回転させているようだった。
おそらく彼なりに、いろんな場面を入れ替え、つなぎ合わせ、必死になってストーリーを組み立てていたのだろう。

確かにその時の集中力たるや賞賛に値するほどのものだったし、その力をここで使うことを良しとするカシオにおもしろさを感じたりもしたのだけれど、それでも、あまりに激しい「なんで?なんで?それで?それで?」の嵐に、さすがの私も飽き飽きしてしまい、聞かれたわけでもないのに、わざわざ歌詞の説明なんぞをしてしまった自分を「バカバカ〜。」と後悔するほどだったのである。
→続きを読む