何をするにも手助けのいった小さい子供も、少し成長してくると「自分一人でやってみたい!」という感情が芽生えてくるだろう。
そしてその思いは、きっと私のような長女という立ち場の人間と、上に兄弟を持つ人間とではえらく差があると思うのだ。つまり兄弟のうちで一番年長の者が思った「一人でやってみたい!」という気持と、上に兄弟を持つ者が思った「一人でやってみたい!」という気持ちは、同じ思いでこそあれ、その濃さを考えると全く違うものなのではないかと思ってしまう。
ひっつき虫ではなく、金魚のふんでもなく、自分一人の力で何かを成し遂げたいと強く思う気持の中には、お互い子供同士でありながら、兄(姉)はできるのに、自分にはできないという悔しさ、挑戦させてもらえない歯痒さなど、きっと私などには想像もつかない色んな思いが隠されているのではないかと思うのだ。
だからこそ尚の事、何かを一人で成し遂げた時の達成感にも大きな大きな違いがうまれてくると思う。

少年の「今日こそ自分の力でだけでクワガタを採ってやる!」という意気込み。
そしてそれが本当に一人だけでできた時の喜び。

そんな主人公の思いの強さや勢い、そしていじらしさが、私の胸を熱く、清々しい気持ちにさせてくれるのだ。