フード・マイレージ  


食の激変

 私たちの食生活が大きく変わってきている。外食が多くなり、簡単に済ますようになって来ました。

 2009年度(1960年比)お米の摂取量は48.3%から23.4%へ減少し、畜産物が3.7%から15.8%、油脂類が4.6%から13.6%と増加しています。栄養バランスも1980年度は日本型食生活で最もバランスが取れていましたが、2010年度は脂質の摂取が多くなっています。豊かで便利な私たちの食生活は、海外からの大量の輸入食品に依存するようになり、輸入国であるドイツやイギリスは食料自給率を上げる努力をしている中、日本はカロリーベースで2010年度は39%(1965年度73%)まで落ち込み、穀物自給率は26%です。

穀物等の国際価格の動向

 21世紀に入り、2002年北米、豪州同時不作、2006年豪州の大干ばつ、2007年欧州天候不順、2010年ロシア干ばつなど、地球上のあらゆるところで気候変動が起きています。オガララ帯水槽の枯渇も問題となっています。そして毎年500万haが砂漠化しています。一方、とうもろこしの生産量の4割がバイオエタノールに使われており、国際価格の変動幅が大きくなっています。

日本国内の状況

 世界の栄養不足人口が9億2500万人と、毎日約2万5千人、6秒毎に子供が1人が餓死する状況の中、日本の米生産量の2倍以上、世界の食料援助量の約3倍に相当する日本の食品廃棄物は約1,900万トン(2004年)となっています。

「フードマイレージ」とは


 フード・マイレージは、「なるべく近くで取れたものを食べることにより、食料輸送に伴う環境負荷を低減」しようというイギリスの"Food Miles"運動から生まれました。計算方法は、食料の輸送量×輸送距離で、単位はt・km(トン・キロメートル)で表す。食料を輸入することにより、大量の二酸化炭素を排出することになり、1世帯当たり平均380kgCO2/年となっています。「地産地消」は新鮮で安価な食材が入手できる、顔の見える関係を保てるなどのメリットがあり、輸送に伴う環境負荷を減らすことでも有益です。

フード・マイレージの限界・問題点


 輸送に限定された指標であり、輸送機関による環境負荷の違い、生産や加工、消費、廃棄面での環境負荷は考慮されていませんが、概念、計算方法とも分かりやすく、具体的な実践に結びつけやすいなどのメリットがあり、循環型社会に向けた「気づきのきっかけ」になり、日本各地でフード・マイレージを活用した取り組みが活発化しています。

ポコの計算の考え方

 輸入市販品と国産の差を、それぞれが運ばれてくる輸送手段も加味してCO2排出量の差として表現し、ポコという単位で表現します。 1ポコ = CO2 100gを削減した量 計算方法はこちらのサイトにリストがあります。豆腐1丁を選ぶと下記のような表示をしてくれます。

http://www.food-mileage.com/mileage/

地産地消のメリット・デメリット

 地産地消による食システムの分散化が100年前のアメリカや今日の地方分権的な開発途上国では機能するかもしれませんが、都市化が進んだ現代社会には適していないということです。 ウェールズ大学研究所の研究によれば、ある食品が影響に与える影響のうち、農場から食料品店への輸送が占める割合は平均して2%にすぎません。一方、加工、包装そして特に栽培による影響はこれよりはるかに大きいのです。現代の農業や酪農がエネルギーを多用し、環境に良いとは思えない化学肥料や灌がい用水、輸入穀物に過度に依存しているためです。この複雑さを理解しようと、持続的農業の擁護派の多くは基準となる指標をフードマイレージよりも細かい概念であるエコロジカル・フットプリントに切り替えようとしています。 食物にかかる真のコストを知りさえすれば、消費者は自ずとそのコストを減らすようになるというのは極端に飛躍した考えと言わなければならないでしょう。(書籍「食の終焉」より)